top of page

「ポツンと打つたピリオツド」裏

いち に さん
あずきが笑う

し ご ろく
早くなって、怖くなる

ななつ目でめがさめて
おじさんの 匂いがした

夢かな

汽車がとまった
おきなきゃ
寝てたい

「ついた?」
「止まった、」

はやすぎたから

「人をはねたようだ」
「事故、」
「死にたかったんだろうよ」

こころのなかで
ひをけした

ひがきえたから
眠くなる
またゆっくり
眠くなる

「カオル、歩いて行こうか」
「…うん」

もうすこし眠りたかった


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


昔みた虫を
さがしてる

秋がきたから
死んじゃったのかな

「あんつぁ!」
「?」

びっくり

「お手玉くれっからお面くれー!」
「だめ」

あげられない

「なじょしてー?」
「連れてかれちゃうから」
「どっちゃ?」
「どっか」
「でこすけっ!」

怒ってる
けど

おじさんが笑ってる
なら べつにいいや

どん
太鼓がなってる

からだを響いて
口のなかから
どん どん
どん
あふれ出す

「寄ろ、」
「金魚は飼えないぞ?」
「少しだけ」

お祭りは
あえないものに
あえる日だから

でも
おじさんが連れていかれませんように

「あのな、」

カオルは平気



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



あったかい
おじさんの手

「祭りに来た事はあるのか?」
「うん」
「どこの祭りだ?」
「ここ」
「……、」
「おじさんと来た」
「そうか」

夢にみる
あったかい
おじさんの手

でも今は
カオルのほうが
大きいね

「何を買った?」
「飴」
「ならよりでかいのを買ってやろう」
「……!」

うれしくて
風がわらう

もったいなくて
しゃらしゃら泣いてる


「おじさん」
「ん?」
「頭としっぽ、どっちがいい?」
「頭だな」

かわいそう

かわいそう
だから
しっぽを食べた


「なぁカオル。仮面はここに、置いて行こうか」
「……、」

嫌かも

「落ち着かないか」
「……、」

そうじゃない

「私は、素顔のお前が好きだよ」

好き

「カオルも、おじさんのことが好きだよ」
「にゃはは、」

笑ってるおじさんが
一番好き

「楽しかったね」
「あぁ」



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



「おじさん、満月」
「あぁ、満月だ」
「こっち来て」
「終わったらな、」
「……」

おじさんは
いつも
いそがしそうだから

「雪、降ってきた」
「嘘をつくな」
「本当」
「……、」

今日はカオルが
やすませてあげたい

「嘘をついたな」
「うん」

おじさんの口が
ふくらんでる

だから触ってみてみたら
金魚の味がした

「まだ甘い」
「お前もな」
「布団でしよ、」
「当たり前だ。外で出来るか」
「ニャハハ、」
「ただし、私の仕事が終わったらな」

抱きしめられた
あったかくて
眠くなる

「おやすみ、」
「うん」

起きたらいっぱい
してあげたい

ゆりかごみたいに
おじさんのこと。

bottom of page